『mauleaf 33号』編集メンバーインタビュー vol.9 「デ情新入生に興味のあること聞いてみた!」
今年度のmauleafメンバー唯一の1年生である高木美翠さん。今春ムサビに入学したばかりの高木さんに、デザイン情報学科(以降:デ情)を選んだ理由や興味を持っているデザインについてインタビューしました。(インタビュー:2025年5月27日)
◎話し手:高木美翠(デザイン情報学科1年)
○聞き手:小柴さら(建築学科2年)

ゲームを入り口にデ情に入学
—高木さんはムサビ生になり2ヶ月くらいですが、ムサビでの生活はどうですか?
今は共通彫塑をやっていて、石膏をカンカン打っているところです。めちゃくちゃキツいですね。デ情の授業ではイラレを使ったり、ホームページを作るためにHTMLのコードを書いたりしてます。あとゲームを制作するサークル「ムサビゲームラボ」に入ったんですよ。 なので、ゲームの絵を描いたりもしています。

—ゲームが好きで、デ情を選んだのでしょうか?
はい、ゲームをつくりたいなぁと思って。でもまだあまり目標が決まっているわけではないので、ふわふわしています。
—ゲームに興味を持ったきっかけを教えてください。
母がゲーム会社に勤めていて、DSなどのゲーム機が家にあったので、保育園に入る前からゲームをしていて楽しくて。「ゲームって楽しい」というのが刷り込みであるんです。ポケモンやモンハンを小さい頃からやっていて、家族もゲームをするので、みんなでよく対戦して遊んでいました。

—では興味があるのは、ゲーム機のハードの部分ではなく、ゲームの世界観など中身のほうですか?
ハードのほうはデザインかっこいいなとか、変形するのがワクワクするなとは思いますし3Dはやりたいですけど、興味があるのはプロダクトよりも中身ですね。自分がゲームに没入する感覚や、物語とキャラクターが展開されていく感じが好きです。世界観をつくるのが楽しい!私はすぐにのめり込むタイプなので、ゲームの世界の中に完全に入ってしまいます。
—世界観に没入するというのは、例えばアニメや本など、ゲーム以外のものでもありますか?
本は大好きで、小さい頃は図書館に通いまくっていました。特にハリーポッターが大好きで。だから本を読むのを苦に思うことはないです。別の世界に集中しやすいのかもしれません。でも飽き性でもあるので、「これ飽きたな、次これやろう!」みたいな、そういうサイクルがありますね。
—mauleafに参加した理由を教えてください。
入学してどこかのサークルに入ることは決めていたんですけど、それ以外にも経験を積んでおきたいなと思っていました。そのときに1号館にある立て看板で『mauleaf』を知りました。入学して一番最初に手に取った冊誌が『mauleaf 32号』だったんです。これをつくることができるなんて絶対に楽しい!と思って参加することにしました。
—ゲームやアニメと同じく、あたらしい世界に飛び込む勇気があるんですね!
私の性格上、1年生のときはやる気あるけど、2年生になったら多分だるくなって何もしないだろうなと思って、今のうちにやっておこうと。あと高校のときに、学年が上がるごとにやることが増えていって、何もできなくなっていった経験があるので、1年生という身軽な立場を利用して、いろいろやろうと思っています。
“体験”をデザインし、ワクワクをつくる

—今のうちに色んなことに挑戦しておくと、いいなと思ったことを3・4年生で深めていけますね。現時点ではどんなことを深めてみたいですか?
まだデ情の授業も始まったばかりなので、自分の好きなことを、もうちょっと高解像度で見たいなと思っています。インタラクションデザイン(操作に対する反応の設計)にも興味があります。たとえば、チームラボの子どもたちが遊べるデジタル空間。私は参加型のアートや遊園地など、自分が体験することが大好きだったので、「体験する」を自分の好きなデジタルの力でできるのが、すごく楽しいなと。チームラボの「お絵かき水族館」では、来場者が紙に魚を描いて読み込んでもらうと、壁に投影された水槽の中で自分の魚が泳ぐんです。子どもたちがもっと楽しめるように、大人が技術を使って手助けして、子どもたちの想像力を広げている。その構図がすごく面白い。今は何でもAIを使えばできるかもしれないけど、自分でつくる楽しさを知る場があるのがいいなと思います。私自身、保育園の頃が一番楽しんで絵を描いていたなと思うときがあって、その最初のワクワクがチームラボにはある気がしています。ワクワクという意味では「キッザニア」も好きでしたが、そういう体験の場を大人にも提供したいんです。「大人用お子様ランチ」みたいなものかもしれません。子どもだけでなく大人ももっとはしゃいでいい場所というか、子どもの頃に地域の知らない道を探検してワクワクしていた、あの感覚を取り戻せる場所というか。最近ゲームやスマホで旅した気持ちにもなれますが、やっぱり本当に体験できるところが欲しいと思いますね。
—デジタルの力で、その場で没入できる新しい世界観をつくりたいということと同時に、リアルな場をつくりたいという気持ちもあるんですね。
「デザインあ展」のようなものもやってみたいです。体験する展示会で、自分でやって、気づいて、楽しいってなるプロセスがいい。体験がデザインされているのが面白いなと思います。私が語りかけて、相手が返してきて、そこで終わらずに、それをまたどう返すか、ループするのか、みたいな。
最近だとライブや映画でもインタラクションが使われていますね。ヒプマイ(ヒプノシスマイク)の映画では観客が投票することで、映画の結末が変わったりするらしいです。あと私は平沢進さんというアーティストがすごく好きなんです。平沢さんのライブがインタラクションライブで、観客がこっちのルートを選んだらこのストーリーにして、みたいな。ライブの中にストーリーが毎回あるんですけど、そのストーリーが分岐していくところが面白いです。今の時代はインターネットで絶えず受動的に刺激を受け続けているから、なおさら「自分で選ぶ楽しさ」という新しい刺激が欲しくなるのかなと思います。

—私の知らないことばかりで、聞いていてとても興味深いです。ヒプマイの映画も、平沢進さんのライブも、観客の選択で内容が変わっていくというのが、本当にゲームみたい。観客は自分がワクワクする方を選んで進んでいくのですね!
そうです!うまい話し方もそうだと思うのですが、相手に対して働きかけると、当事者意識が生まれて返してくれる。そこが「楽しい」につながるのかなと思います。主体性を持ってもらうことが「楽しい」につながると思うから、その回路をつくり出してみたいという気持ちです。今はまだあまりつくれないので、つくれるようになりたいです。
執筆・編集:建築学科2年 小柴 さら








