mauleaf 33号編集メンバーインタビュー vol.11 「名のない時間を歩いていたい」
今年も、学科や学年が異なる13人が集まり、冊子版『mauleaf』の制作が始まっています。制作の裏側では、メンバー同士がインタビューを通してお互いを深く知る時間も。ここでは、そのやり取りから生まれたメンバー紹介を記事にします。今回の話し手は、歩くことと、世界の不思議に心惹かれるこの人です。
◎話し手:小柴 さら(建築学科2年)
○聞き手:トウ エイキ(彫刻学科2年)

建築と「通り過ぎる人たち」
—小柴さんが建築学科を選んだ理由を教えてください。
自分が興味のあることに、絶対「建築」というワードが出てくるからです。いろんなことに興味はあるけど、とりあえず建築学科に行けば何かできるかも、みたいな感じで入りました。
—建築のどんなところに魅力を感じていますか?
人が「通り過ぎる」ところが面白いなと思って。人が寝るところも、食べるところも、遊ぶところも、お散歩で通るところも、全ての場所に建築がある。私は散歩が大好きなんですけど、どこに行っても建築があって、人と切っても切り離せない存在が建築だと思っています。ひとまず歩いてみれば、なにか面白いものが見つかるかも、みたいな。

—芸術的な建築には興味がありますか?
芸術的な意味を強く持つ建築そのものには、それほど強い興味があるわけではありません。ただ、歴史に残る建築は人々の生活に何らかの変化をもたらし、建築史上で革命的な役割を果たしてきたと思います。そうした、芸術性が高いと同時に、人々の生活を変え、人と建築の関係に革命をもたらしたものが好きです。
散歩が人生のはじまり
—普段どんな場所で散歩していますか?
大学に入ってからは中央線沿線で散歩しています。どこかの駅で降りてその周辺を歩いたり、線路沿いをそのまま隣の駅まで歩いたり。
—おすすめの駅は?
高円寺とか阿佐ヶ谷あたりが好きなんですけど、最近のブームは国立です。たまたま降りてみたら、大学からその先までまっすぐ道路が整備されていて、それが好きで、最近通ってます。地元の方がちゃんと手入れして管理していかないと、こんなに綺麗な場所は生まれないだろうなと思います。定期券の圏外なんですけど、お金払って歩きに行きます。

—他に散歩する場所は?
中央線以外だと横浜です。みんながイメージする横浜って、実は横浜市の5パーセントぐらいのエリアだと思いますが、私はその5パーセントの横浜が好きですね。私が通っていた高校も中学もその中にあったので、通学路やその周辺はよく散歩していました。
—おすすめのスポットは?
本牧埠頭や「横浜ベイブリッジスカイウォーク」という歩道。工場とか倉庫とかあるエリアで、バスでぐるぐる回ってたどり着く感じが楽しいんです。天気のいい日は景色がすごくいいですよ。

電車、夢、旅人になる
—一番落ち着く場所はどこですか?
電車の中です。ムサビにいるときは、学籍番号もあって身元も確かな「小柴さら」だけど、電車の中ではそんなの関係なくて。自分でもなぜそう感じるのかわからないんですけど、何者でもない感じが落ち着きます。
—将来の夢は?
旅人になりたいです。小学校の卒業式のときに、将来の夢を言わないといけなかったので、そのときの私なりに深く考えて「旅人」って答えたんですよ。それがずっと自分の中に残っています。旅人になってどうやって稼ぐかは決めていませんが、インフルエンサーとかは向いてないと思う。だからお金を稼ぐ手段は模索中です。
—実際、旅に出たことはありますか?
今年の2月にインドネシアの協定校のワークショップに参加しました。そのあと、マレーシア、シンガポール、韓国、福岡と回って戻ってきたんです。最初は全額自己負担で行くのですが、あとで大学から交通費やホテル代の補助をいただける仕組みでした。


ムサビで見つけた実感
—大学ってどんな場所だと思いますか?
ムサビに入ってみて、大学って「教育」より「研究」の場だなと思っています。自分で調べたり、誰かに聞いたりしないと、本当に何にもわからない。イラレや製図のソフトも、苦手でも自分で調べてなんとかするしかないんです。
—今までで一番やりがいがあったことは?
芸術祭の実行委員です。私は副部長と会計をやりながら、デザイン部として新歓のポスターを同級生にお願いして、コミュニケーションを取りながらがんばって進めました。完成したデザインが印刷物として届いたときは、本当に感動しました。
ラストにちょっと変な質問
—山のない世界と海のない世界、どっちがいいですか?
海のない世界の方が嫌ですかね。海が広がっているから、大陸と大陸が離れている。離れてるから楽しい。陸続きなら歩いて行けるけど、海を泳いで誰かに会いに行くってできないから、だから旅も楽しいんだと思います。
執筆・編集:彫刻学科2年 トウ エイキ








