2025-06-30

『mauleaf 33号』編集メンバーインタビュー vol.1 「考える僕を支えるのは推しと、ノートと、牛タン」

2025年度のmauleafの活動が始まりました。4月のキックオフミーティングを終え、秋に発行予定の『mauleaf 33号』について、さっそくメンバー同士で特集テーマの話し合いを進めています。今年度のweb版mauleafでは、学科も学年もさまざまな13人の編集メンバーを順番にご紹介!ほとんどのメンバーが初めましての仲間に初めてのインタビューをし、初めての記事を書いていきます。どうぞよろしくお願いします!

◎話し手:古市 真之介(芸術文化学科3年)
○聞き手:スコット 愛真 ルイーズ(視覚伝達デザイン学科3年)

思い切って飛び込んだ美大で見つけた、自分の役割

―『mauleaf 33号』の仮テーマが「ムサビ万博」ということで、編集会議ではムサビの宝ともいえる人や建物に注目して話し合いをしていますが、古市さん自身のお気に入りの場所ってありますか?

図書館の2階が大好きです。特に、あのドーム型の青い椅子があるエリア。すごく落ち着けるんですけど、だいたい誰かが先に座ってて、寝てたりして。授業で行き詰まりそうな時にはダッシュでその椅子を取りに行きますね。

―自由度の高い授業で、制作するときにそこを使っていたんですね。

そうですね。特に自画像の課題のときは、構想段階が長くて集中できる環境を探していたんです。あの椅子に座ると視界が狭まる感じもあって、すごく集中できました。

―古市さんはムサビに入るまでは美術を学んでいたわけではないんですよね?

そうなんです。もともとは別の大学で社会学を学んでいて、メディア専攻でした。メディア業界の人ってなんか“最先端”って感じでかっこよく見えたんですよね。自分も流行を発信する側に立ちたいなと思うようになりました。

―そこから、どうして美大に?

仮面浪人中に、高校の友達から「美大いいよ」って言われて。そのとき、自分はデッサン経験もないし「無理だろうな」と思っていたんですけど、調べてみたら芸術文化学科(芸文)っていう学科なら入れそうだと。カリキュラムが、マスコミや芸能業界のマネジメントに近かったんですよ。そこに惹かれて、思い切って受験しました。

―デッサン未経験で飛び込むのは、勇気がいりますよね。

そうなんですよ。入学後、彫刻の授業は学年の後半にあったのでまだよかったのですが、共通絵画の授業が5月でした。そのときは、初心者と経験者にクラスが分かれていて、自分はもちろん初心者組。基礎から学ぶデッサンを選びました。まわりには美術系高校出身の子や、他の美大も受けた上で芸文に来た子も多くて、最初はかなり落ち込みました。「自分、何もできないじゃん…」って。

―その気持ち、わかります。でも今はもう前向きに?

はい。授業の中で、自分のお気に入りの作品をテーマにして何かをつくったり、グループワークで遊びの企画を考える授業があったりして、「絵が描けなくても表現できることがあるんだ」って気づけたんです。今は、得意分野の違いもそれぞれの「適材適所」だと思えるようになりました。

―どんなところで自分の“得意”を感じられましたか?

うーん……。自分で言うのも恥ずかしいですが、「まとめる係」かもしれません。私は2年間、芸祭の執行部としてスケジュール管理や全体の雰囲気づくりをやってきました。小さい頃からクラス委員や部長など、人前に立つ機会が多かったので、自然とその役割がしっくりきて。美術とは直接関係ないけれど、自分の個性を活かせる場所を見つけられた気がします。

2024年度の芸祭執行部の活動にて

―まさに適材適所ですね。確かに、美大って表現力だけじゃなく、全体を見渡す力もすごく大事ですよね。

そう思います!それぞれが専門を活かしながら、それをまとめる存在がいると、チームがうまく動く。今は、自分の立ち位置に納得できているし、「これでよかったのかも」と思えます。

継続力が、つくった“宝”

―では次に、33号の仮テーマである「ムサビ万博」と私たちが議論している「ムサビのお宝」にちなんで、「古市さんのお宝」について聞かせてください。人生でずっと使い続けているものってありますか?

百均で買った無地のノートです。もう高校生のときからずっと同じシリーズを使い続けていて、今でもストックがあります。見た目はシンプルだけど、書き心地がすごくいい。中身はもう、ほんとにぐちゃぐちゃなんですけど、自習用だったりアイデア出しだったり、いろんな使い方をしてきました。クロッキー帳よりも、自分にはこれが合っていて。ノートにシールを貼って、気分に合わせてカスタマイズもしています。

―どんなふうに書いているんですか?

とにかく思いついたことをガーッと書き出す。それから矢印とか赤ペンとか使って、自分で自分にツッコミ入れるみたいに。

―えええ、これすごいですね。めちゃくちゃびっしり書いてあって感動しました!

ありがとうございます。余白なく埋め尽くすのが好きで、達成感があるんですよ。見た目は全然整ってないけど、自分にとってはすごく大事なツールで。最近はこのノートが廃番になってしまい、似たものを探しているところです。

―今までのノートは保存していますか?

高校のときの受験ノートとかはもう残っていませんが、大学に入ってからのものはけっこう溜まっています。

―それってすごい「お宝」ですね。自分のやるべきことがわかっていて整理されているような印象があります。古市さんのメンタルを支えているものを教えてください。

牛タンですね(笑)。高校生のときから、大事なイベントのあとにはスーパーで焼き肉用の牛タンを買って、家でひとりで焼いて食べるっていう習慣があって。「それを食べるためにがんばる」みたいなご褒美的存在です。今も続けていて、「あ〜、終わったら牛タン食べよう!」って思うと踏ん張れます。

―素敵な習慣ですね。ずっと一貫して続けられる力がかなり強いと感じました。ほかに、これもまた万博らしく、「最新」なメンタルの支えといえば何でしょうか?

XGというガールズグループにめちゃくちゃハマってます。おととい東京ドーム公演にも行ってきました。髪型もメイクも毎回変わっていて、ビジュアルがとにかく圧巻。衣装、映像、ダンス、全部が一体となった総合芸術で、「自分ももっと表現していきたいな」と思わせてくれる存在です。

東京ドーム、エントランス付近のデジタルサイネージ

―美大で学んでいるからこそ、表現の幅を意識するようになったんですね。

そうですね。アイドルとしての見た目以上に、そのコンセプトや演出の裏側などに目が行くようになりました。自分の制作にも刺激を与えてくれる存在だと思っていて、そう考えるようになったのも、美大に来てよかったと思える瞬間です。

――ありがとうございました。33号、一緒にがんばりましょう!

ありがとうございました。記事書くの、緊張しますね(笑)


執筆・編集:視覚伝達デザイン学科3年 スコット 愛真 ルイーズ

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