2025-07-07

『mauleaf 33号』編集メンバーインタビュー vol.2 「探究心豊かな劉さん、ムサビ生になるまでの歩みは…」

学科も学年もさまざまな13人の『mauleaf 33号』編集メンバー。今年度のweb版mauleafでは、メンバー同士でインタビューし合い、ともに冊子をつくる仲間を紹介しています。今回の話し手は、中国出身、イギリスの美大を経てムサビで学びを深める唯一の院生メンバーです。

◎話し手:劉 允諾(リュウ インダク) (大学院デザイン情報学コース1年)
○聞き手:丸岡 京嘉 (工芸工業デザイン学科2年)

北京出身の留学生。ロンドンで学び、そして小平へ。

—劉さんの来歴を聞かせて下さい。

私は中国の北京出身です。高校卒業まで北京で育ち、イギリスの美術大学に進みました。ロンドンには大学の4年間滞在して、日本に来たのは大学卒業後です。日本語学校に1年間通い、今年、ムサビの大学院デザイン情報学コースに入学しました。

—なぜ美術の道を選んだのですか?

昔は、絵を描いたりするのが好きでした。けれど、中学生になった頃から、だんだん描かなくなって…。でも、高校生の時にまた「絵を描きたい!」と思い、美大への進学を決めました。中国の美大に入ることは考えませんでした。イギリスに行きたかったんです。いい国だなって思っていたので。実際に、イギリスは美しい場所でした。

—イギリスの美大では、どのような分野を勉強していたのですか?

アニメーションをやっていました。卒業制作では、父親の子供の頃の実話をもとにしたアニメーションをつくりました。物語を考えて、絵はタブレットで描いていました。12FPSという、1秒を12枚の絵で表現する手法で、3分のアニメーションをつくるために、2000枚くらいの絵を描くんです。卒業制作を終えて、絵からは卒業しました。もう描きたくないってくらい描いたので。

卒業制作のアニメーションのワンシーン

—ムサビの大学院に入学し、今はどのようなことをやっていますか?

空についての研究をしています。空を見るのは大好きなので、とても楽しい。日本の空はすごいですよ。海外と違います。特に入道雲は、北京にはありません。あの膨大な量の雲は、「ムサビHPに載っている白石先生(デザイン情報学科教授)の髪の毛みたい」っていつも思っています。地平線から上がっていくあの感じ、日本に来るまでは見たことがありませんでした。今はこの研究で、空の色の辞典をつくっているのです。色の捉え方は、国によって少し違いますから、中国と日本の空を比べながら辞典をつくろうと考えているところです。まだ始まったばかりですが、時間はあるので、模索しながら進めています。

将来の夢はゲーム業界…?

—将来つきたい職業はなんですか?

今考えているのは、ゲーム業界とかかな。友達と一緒にゲームの美術や、それに関連したデザイン、ビジュアルデザイン、UIデザインとか、キャラクターデザインなどをやった経験があります。ゲームは自分でプレイするのも好きで、今はゲームのグッズを制作したり、企画をしたりということに興味があります。でも、気持ちがコロコロ変わってしまうので、いつまでこう考えていられるかわからないです。

—劉さんの趣味を教えて下さい。

ペットの世話をすることが好きです。今は一人暮らしをしていますが、猫を一匹飼っています。これまでも色々なペットを飼ったことがあります。小学生の時はにわとりを飼っていました。名前は「豆豆(まめまめ)」です。日本では、家でにわとりをペットとして飼うなんて習慣ないですよね。中国では、毎年春に必ず小学校の門のところに、にわとりの販売者が看板を出して立っているんです。にわとりを飼っていた頃は、一緒に散歩もしていました。自分で歩いたり、私の肩に乗ったりして。特に雨の後は、ミミズがたくさんいますが、それがにわとりの大好物で、連れ出すと自分でミミズを探し始めるんです。家に帰るときは、私が地面を叩くとちゃんと戻ってきます。訓練したので。こんな感じで、にわとりは飼っていました。

その後は、うさぎやハムスターも飼っていました。でもロンドンに住んでいたときは、なにも飼っていませんでした。イギリスは大きい犬を飼っている人が多い印象ですが、イギリスのお金は、今では1ポンド193円くらいです(※2025年5月時点)。生活費もたくさんかかるので、さすがに大変でした。日本では大きい犬をあまり見ませんね。

—最後になりますが、留学生の多いムサビには、「劉」という名前の方はたくさんいます。劉さんが呼ばれたいあだ名や、今まで呼ばれてきたニックネームがあれば教えて下さい!

劉という名前は、日本での「田中」や「鈴木」みたいに結構多いんですよ。イギリスでは、シンプルに下の名前で、「允諾(インダク)」でしたね。北京にいた時は、「小」と言う文字をつけて、「小劉(しょうりゅう)」と呼ばれたことがあります。インダクのダクをとって、「タクタク」とも呼ばれます。そう呼んでもらえたら嬉しいです。


執筆・編集:工芸工業デザイン学科 2年 丸岡 京嘉

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