『mauleaf 33号』編集メンバーインタビュー vol.5 「今がすごく楽しい!私にとってのムサビ」
『mauleaf 33号』編集メンバー同士の他己紹介インタビュー。今回インタビューしたのは、工芸工業デザイン学科2年生の小保方さん。大学に入学してから1年が経った今から見た過去~未来について聞きました。
◎話し手:小保方 結菜(工芸工業デザイン学科2年)
○聞き手:本山 結(デザイン情報学科3年)

私がムサビに来るまで。
—初めに、ムサビに来た経緯を聞かせてください。
最初から美術系を志望していたのではなく、普通の一般大を志望していたんです。でも高校2年生くらいの時にやりたいことや将来の自分の姿が全然見えなくなってしまって…。そんな中、デザイナーである母親に勧められて、いつの間にか美大予備校の講習会に参加していました。美術が好きだったから美大を目指したというよりは、やりたいことが見つからなくて、美術予備校からスタートしたという感じです。
そこからは結構順調で、高3に上がるタイミングでは現役合格も目指せるかもと思っていました。ところがちょうど同じくらいのタイミングで、大きめの病気が見つかってしまったんです。もう受験生でしたが、すぐに手術をしてリハビリ生活を送り、高校最後の1年間は結局全然通えませんでした。高校はなんとか卒業させてもらったものの、精神的にも限界、体も限界で、受験ができるような状態ではなく、1年間お休みという感じで浪人をしていました。それでも1月からの入試直前講座にはどうにか通えるようになっていたので、受験してムサビに入学しました。
それまで、やっと自分の道を見つけたと思っていたら、いきなりドン底だったので。まず体に気をつけないといけないと思っています。

—ムサビの中でも、工芸工業デザイン学科を選んだ理由はありますか?
そもそも絵を描くのが好きというわけではなかったので、ファイン系に進むことは最初から考えていませんでした。それと、私の家族だと母と祖母がデザイナーなので、幼い頃からデザインは結構身近でした。逆に身近だったからこそ、私は美術はやりたくないなと思っていたんです。いつも納期に追われていたり、休みの日も資料を集めたり、常にアンテナを高くしていないといけない。そういうのが大変そうだなと。
でも、やっぱり身近にあったからこそ、デザインの感覚みたいなものは自然と教わっていたのかなと思います。私は絵を描くことよりも考えることがすごく好きで、自分の表現したいものをつくるというよりは、何かの役に立つものをつくりたいとずっと思っていました。小学生の図工の授業では、「自由につくっていい」と言われても、何かしら意味のあるものをつくってしまう。例えば、引っかけられるオブジェのようなものだったり、花瓶になるものだったり。とにかく無駄なものが嫌いで、意味のあるものを突き詰めたかった。工デを選んだのも、そういった理由からきています。あと、私の祖父もムサビの工デ出身なんです。本当に偶然なんですけど、なんだか勝手に運命を感じています。
—ご家族に同じ学科をご出身の方が!いま大学で学んでいることや大学の様子で、ご家族との共通点はありますか?
祖母と母はグラフィック系なので、自分とは全然違うことをやっている感じですね。祖父にはたまに課題を見せることもありますが、祖父が学生だった頃の話はあんまり聞いていないです。そもそも鷹の台キャンパスもまだない頃で、吉祥寺校に通っていたとか。いつかここのキャンパスを見せてあげたいなと思っています。
—工デに入って、ここが面白いな、好きだなと思ったところはありますか?
これは工デに限らずだと思うんですけど、大学生になると自分で行動すれば何でもできるなと感じています。例えば課題で悩んでいる時に、友達に聞いてももちろん参考になるけれど、あえて教授や先輩に聞きに行ってみる。思い切って突っ込んでいくとちゃんと教えてくれるので、結構いろんな発見があったりします。やっぱり大学って自由じゃないですか。自由だからこそ、積極的に動いていくことの必要性を感じるし、自分の行動に責任も伴ってきていることを実感します。
でも、工デに入って一番思ったのは忙しすぎるということです。週6で必修授業があって、しかも授業内で終わらない前提で課題が組まれているので、締め切り1週間前になると、みんな夜10時まで残っています。課題を持ち帰れないのが困ったところです。例えば椅子の座面とかんなだけなど、一部分を持ち帰ることもありますが、基本的にものが大きいので家で作業するのはちょっと厳しいですね。
二十歳の私と、これからの私。
—最初の1年間の大学生活で、一番印象に残っていることはなんですか?
大学に入って一番初めの、スツールをつくる木工の授業での出来事です。その講評を木工専攻の先輩が偶然見ていて、後日声をかけてくれました。私のデザインをすごく評価してくださったんです。同じクラスの子に褒められたり、教授に評価されたりするのももちろん嬉しいんですけど、素性を知らない第三者の方からそういった言葉をもらえたことにすごく感動しました。最初の授業で辛かったのもありますが、その先輩が話しかけてくださったことでより達成感を得られましたし、ここに来てよかったなと心の底から思いました。

サークル活動では、去年1年生が立ち上げた武蔵美蹴球部の創立メンバーに声をかけてもらって、マネージャー兼会計をしています。でも設立1年目で道具も揃ってないし、私はサッカーの知識も全然なかったので、色々と試行錯誤しながらでした。座学の授業で隣の席の人に「サッカー興味ない?」と勧誘したりしていました。

—今年は成人式があったそうですが、何か記憶に残っていることはありますか?
さいたまスーパーアリーナで開催された成人式で、久しぶりに会った幼馴染みが、同じ小学校の同級生がムサビに1浪して入学していることを教えてくれました。小学校を卒業してから全く連絡もとっていなかったんですけど、その幼馴染みが引き合わせてくれました。同じムサビ、同じ学年でびっくりです。そのあと、小学校の同級生複数人で飲みに行きました。私が知る小学校の同級生はランドセルを背負っている姿だったので、「もう20歳になったのかー」と。「小さかった頃のあの子たちと、今は一緒に遊んでお酒を飲んでいるの?」みたいな感動を覚えました。
最近、本当に人生って何があるかわからないなと思っています。色々大変なこともあったけど、でもなんだかんだ今こうしていられるのがすっごく楽しいし、幸せです。この先何があっても、「おお、なんか盛り上がってきたな」っていう風に捉えられるかなと思っています。浪人期間は精神面がすごく成長しましたし、これで良かったと納得しています。
—最後に、将来はこれを目指したい、こういう人になりたいなというのはありますか?
工デでできることを全てやり尽くして、社会に出たら何かしら発明を残したいと思っています。人の役に立てるものをつくりたいです。あと、これは浪人中に考えていたことなんですけど、一時期ですが入院や車椅子での生活を体験して、いかにこの世の中が健常者に合わせてつくられているのかということをすごく感じました。そういう視点を得られたことも、これから何かに生かせればいいなと思っています。
執筆・編集:デザイン情報学科3年 本山 結








