『mauleaf 34号』編集メンバーインタビュー vol.12「デザインの全ては繋がっている」
『mauleaf 34号』編集メンバー同士による他己紹介インタビュー!
私がインタビューしたのは、基礎デザイン学科1年生の保坂隆久さん。数ヶ月前まで高校生だった彼に、大学入学までの出来事や大学でのことを聞いてみました(2026年5月15日インタビュー)。
◎話し手:保坂 隆久(基礎デザイン学科1年)
○聞き手:紙原 菜々果(油絵学科3年)

Bauhausとの出会い、ムサビで学びたいこと
—美大を目指したきっかけはなんですか?
昔から絵を描くのは好きで、小学生の頃からイラストなど描いたりしていました。でも中学生の間は本当にゲームしかしていなくて、高校からは新しいことを始めよう思ったんです。それで、吹奏楽部と絵画教室に入りました。吹奏楽部は3ヶ月ほどで辞めてしまったのですが、絵画教室が楽しくなって。そこから美大を意識し始めました。
—色々やってみるの大事ですよね。ムサビの基礎デザイン学科にした決め手はなんでしたか?
通っていたのが予備校も兼ねた絵画教室だったので、美術関連の資料が豊富で、そこでBauhaus関係の本に出会い、すごく衝撃を受けました。それから古書店や展覧会を回ったり、Bauhausについて調べたりしているうちに、日本でBauhaus研究に長けている学科があると知って、それがムサビの基礎デザイン学科(以下、「基礎デ」)だったんです。
一番の決め手は、高3の1学期に読んだ向井周太郎さんの本です。日本でBauhaus研究をし基礎デの創設者となった向井さんの本を読んだら本当に面白くて、基礎デに絶対に行こうと決めました。
—Bauhausがきっかけで基礎デに決めたのですね。
そうです。また、僕の好きな言葉に「全ての事象は繋がっている」という意味のレオナルド・ダ・ヴィンチの言葉があるんですけど、デザインの全ては繋がっているという基礎デの思想が僕の考え方的にもすごく合っていたんです。
プロダクトデザインもグラフィックデザインも建築も、デザインは本来分かれたものではなくて、全ての根底にあるデザインの本質を学ぶ学科が基礎デだったんです。
—そういった意味での「基礎」なんだ!奥が深いですね。好きな作家さんなどもBauhaus関係だったりしますか?
Bauhausで学んでのちにウルム造形大学を立ち上げた、マックス・ビルという方のデザインがすごく好きです。あとはカール・ゲルストナーというスイスの方も好きです。
日本のグラフィックデザインもすごく好きで、一番尊敬しているのが田中一光さんで、田中一光さんが影響を受けていたデザイナーの早川良雄さんのデザインも好きです。
プロダクトデザインだと、アッキレ・カスティリオーニというイタリアのデザイナーや、深澤直人さんのデザインが好きです。

ムサビでの生活、これから目指すもの
—実際入学してみて、基礎デの授業はどんな感じですか?
おもしろいです。基礎デの授業は、デザインの土台、階段の一歩目ではなくて、あらゆるデザインの奥深くの水脈みたいなものを学ぶ学科なので、抽象的な課題が多いです。最近では「色彩論」という授業で、太陽の残像を見る授業がありました。強い光を見た後に目を瞑って浮かぶ残像を観察して、イメージを作ったりだとか。「形態論」という授業だとドット文字を作る課題がありました。ドット文字を作るだけでなくて、ドットのグリットを変えて作ったドット文字を変化させたりしました。
—確かに抽象的ですね。授業で苦戦したり、そこから得た気づきがあったら教えてください。
ただ抽象的というよりも、形や色など根源的な部分を考えるので、課題自体は難しくなくて自由に解釈しています。難しい授業でもわからないからこその魅力があって、未知の魅力に惹かれるし楽しいです。
—私は自由度が高すぎると、どうしたらいいかわからなくなるんですが、そういうことはないんですか?
解釈の幅は広いんですけど、考える隙があるというか、制約の中の自由なんです。例えば、空間に文字を配置する課題でも、単語や大きさが決まっていたり、抽象的な課題だけどかぶりつきやすいです。
—それでも切り口を見つけられるのはすごいですね!デザインの根源に触れて、自分の中や作りたいものが変化していると感じますか?
デザインの土台や根源が関係しているかわかりませんが、大学入ってからプロダクトに興味をもつようになりました。平面のデザインに触れる機会はこれまでも多かったけど、大学で立体にも触れて、土台が全て繋がっているからこそ、視野が広がって興味を持つモチーフがすごく増えました。
—大学生活が始まって、驚いたことなどありましたか?
すごく自然豊かで驚きました。学内もそうですが、通学路にある玉川上水がすごく素敵で毎日通れるのが嬉しいです。雨の日はぬかるんでしまいますが。
あとは、思っていたよりいろんな人がいることに驚きました。僕と同じようなデザイン大好きな人だけではなくて本当にいろんな人がいるので、デザインについて語ったりはまだできていないのですが、僕には考えつかないアイデアを持ってたり面白い思考回路の人がいたりして、楽しいです。
—自然豊かな場所がお好きなんですね。
そうですね。生まれは東京ですが、小学生時代を四国の徳島の阿波市という自然にあふれた場所で過ごしたので、徳島の景色を思い出すような自然に惹かれたりします。
—そうだったんですね。徳島で過ごした時間が制作や好みにも影響していると感じることはありますか?
一目で自然や緑を感じるような作品はあまりありませんが、目に見えない土台の部分で何かしら影響はしていると思います。好きな色が緑や青のアースカラーなのも徳島の影響です。

—紆余曲折を経てムサビにきてみて、目指したいものや作りたいものはできましたか?
環境を考えながらデザインしたいなと思っています。例えばスプーンを作るにしても、単体ではなくて環境とスプーンがどう関わっているかとか、土台としての環境を見渡す力と目を育てるということです。プロダクトって作るものじゃなくて、生まれるものだと考えていて、環境を作っちゃえば自ずとものは生まれるというか。土壌を耕す、見る、意識することで生まれるデザインってあるんじゃないかと考えています。
—最後に、今回の『mauleaf 34号』をどんなものにしたいと思っていますか?
今回のテーマは本当に難しくて、あまり考えたことないことを考えているし、みんな気合入っているので、34号がmauleafのはざま、転換点になるといいなと思います。
—そうですね。今だから作れるものですね。一緒に頑張りましょう!
執筆・編集:油絵学科3年 紙原菜々果








