『mauleaf 34号』インタビューvol.14「ムサビを検討している受験生の、不安を希望に」
2026年度のmauleafの活動が始まりました。今年度の制作メンバーは15人。大人数の議論で互いに刺激を受けながら、楽しい企画を考えております。今回はそんなメンバーの一人に、美大生のリアルな日常についてインタビューしていきます。美大を検討している方、芸術文化学科について知りたい方、ぜひご覧ください!
◎話し手:鈴木 保孝(芸術文化学科3年)
〇聞き手:石田 愛瑛(デザイン情報学科3年)

様々なことに挑戦できる美大、芸術文化学科の魅力
―なぜムサビの芸術文化学科(以下、「芸文」)に進学しましたか?
もともと藝大の建築科を目指していましたが落ちてしまったんです。でも、ムサビの芸文は、学芸員資格や、教職免許が取れて、幅広い分野を扱うため、飽きないだろうと思って進学しました。
―芸文に入ってみて、ギャップなどはありましたか?
思ったより芸術だと言い張って問題を起こすような人は少なく、優等生で真面目な人が多いです。アニメ、漫画などのエンタメに傾倒する人も多いと感じています。
―今一番楽しい制作課題はなんですか?
学外では、「48時間映画祭(「The 48 Hour Film Project」)」(※)というコンペティションにチームで参加して、金曜から日曜の夜のつい昨日まで丸2日制作をしていたんです。役者3名、スタッフ3名の6名で、夜中も惜しまず作業していました。私たちの作品は、潔癖症の人が、友達の手作りのお菓子を毎回ばれないように捨てている、というストーリーでつくりました。小道具でお菓子を用意するのが大変でした。
また、授業では、映像実習でシナリオライターの方に、脚本の作り方などを教えていただき、6週間くらい5分程度の映像をつくっています。それがとても楽しいです。
※「The 48 Hour Film Project」…脚本、撮影、そして編集と、すべての映画製作の過程を48時間以内で行い、1本の短編映画を完成させるという、他に類を見ない過酷で刺激的な映像製作コンペティション
―映像制作に興味があるのですね。芸文でも映像制作を学べることを知りました。制作以外でも楽しみなことがあれば教えてください。
教職採用試験前倒しの試験があって、本来大学4年で受ける試験の一部を3年の7月に受けることができるんです。何点取れるのかが楽しみです。
―教職試験はみんな大変そうにしていますが、それを楽しめているのはすごいことだと思います。ムサビを検討している人に向けても、受験に前向きになれるようなメッセージをお願いします。
画力やアイデアをAIに任せられるようになってきた時代に美大に行く意味が薄れると思われがちですが、ちゃんと意味があって、デザインの基礎力は創作で必要不可欠となってくると思います。あと、デザイン系は仕事がいっぱいあって就職率が高いのでとてもおすすめですので、希望をもって受験してほしいと思います。
芸術文化学科は、何をする学科かわかりづらいと思いますが、文章を書く人、日本画、油絵、音楽をやっている人など得意分野が多岐にわたります。また、そういった様々な分野の授業を選択できるので、新しいことを始めて視野を広げたい人にもおすすめです。受験頑張ってください。

楽しいだけではない美大生活。どう乗り越えていくの?
―好きな本、映画などはありますか?
『プロジェクト・へイル・メアリー』というSF映画が綺麗で好きです。他にも大学のイメージライブラリーに古めの作品が沢山あってよく見ています。
また、本を読むことが好きで、本屋大賞や芥川賞を予想しています。
―私も普段見られない昔の作品をイメージライブラリーで見ることがあります。その作品は見たことないですが、映画ポスターが素敵ですね。ぜひ見てみたいです。芸術家ではどんな方が好きですか?
成田亨さんと朝井リョウさんです。成田さんは特撮美術を手掛けたムサビ出身の芸術家です。ウルトラマンやウルトラマンの怪獣などをデザインした方で、シンプルかつ斬新なところに惹かれました。
朝井リョウさんは小説家ですが、昨年本屋大賞をとった『イン・ザ・メガチャーチ』は現代の推し活やコミュニティが持つ連帯感や、その裏にある個人の孤独感を描いています。集団極性化を淡々と描いている恐ろしさが魅力です。
―本は脚本などの普段の制作にもつながっていきそうですが、こういう好きな作品は制作にどのように影響していますか?
いいなと思った部分をまねしたり参考にしたりしています。成田亨さんのデザインはシンプルですが、新しさがあって。自分自身の制作時にも、できるだけシンプルに余分なものをそぎ落とすようにしています。映像などでは完成尺が限られているので尚更です。

―スランプに陥るときはどのように乗り越えていきますか?
何個か掛け持ちしていて一つが乗らなかったらもう一つに集中し、それでも無理だったら寝るかジョギングするなどして、気分転換しています。
―私も同じようなことをしています。制作で苦労したことなどがあれば教えてください。
映像制作で苦労したところは、授業課題ではメンバー間で映像に慣れている人とそうでない人がいたところです。イマジナリーラインを超えないようにするとか、基礎的なところを一つひとつ確かめ合いながらの制作でした。また、この課題に限らず、制作時間が足りなくて期限に間に合わせることに苦労しました。

―とても分かります。何を伝えたいのかの明確さと、計画性が問われますね。今後の制作でやってみたい分野はありますか?
偶然的なものではなく、事前に動きやレイアウトなど画面を決めているもの、コンセプチュアルな作品に興味があります。例えば黒澤明は、最初に画を決めていて、ビニールをおいてそこを歩いて、という指示のように細かいところまで設定してから撮影しているところがいいなと思いました。
また、最近はAIによって背景画像なども個人ですべてできるので、それを生かしていろんなことをやってみたいです。
―いいですね、AIで実現可能なものが増えてきているので、美大生にとっておすすめの表現方法の一つですよね。ここまでのお話で、鈴木さんの個性やリアルな学校生活について詳しく知ることができました。沢山挑戦して知見を得て、失敗や苦労を重ねることで、鈴木さんの作品が出来上がっていくということも知れて嬉しかったです。今後のmauleafの制作でもよろしくお願いします!
執筆・編集:デザイン情報学科3年 石田愛瑛










