『mauleaf 34号』編集メンバーインタビュー vol.13「超!人間!」
mauleaf34号編集メンバーを紹介するweb版mauleaf。まだ今年のmauleafの活動が始まったばかりの時期ですが、今回は私、基礎デザイン学科1年の保坂隆玖が油絵学科グラフィックアーツ専攻3年の紙原菜々果さんへインタビューをします。
◎話し手:紙原 菜々果(油絵学科グラフィックアーツ専攻3年)
○聞き手:保坂 隆玖(基礎デザイン学科1年)

キモさの発見
—まずは紙原さんがムサビに来るまでの道のりを教えてください。
東京生まれ東京育ちで、ムサビには実家から通っています。高校が私立の美術系だったので、美術の予備校には特に通わずにムサビの油絵学科を受けたんです。油絵には確固たる理由があったわけでもなく、何も考えずにテキトーに描いていたら流れで入学しました。でも、網点の描写が好きで版画にはずっと興味があったので、3年から専攻を変更して、網点の表現ができるグラフィックアーツ専攻で学んでいます。
—点描に興味があったということですが、どういうところに惹かれたんですか?
無心になって描けるんですよね。何も考えなくても描けるし、出来上がった時の迫力というか、密度がすごいあるんですよ。私は気持ち悪さと美しさって隣り合わせだと思っていて、点が密集している感じも結構好きです。

—どういったきっかけから点描が好きになりましたか?
受験期に、いっぱい持っていたボールペンのインクを消費したいという動機があって、消費するために描き始めました。そうしたら「綺麗なのできたな」って感じで好きになりました。偶然できたものがきっかけで好きになったのかもしれない。
—「気持ち悪さ」など、マイナスなものに興味を持っていますね。
うーんそうなのかなぁ。でも確かに、作品を作る時の動機はプラスよりもマイナスが多いかも。マイナスなものってよりも、気の抜けた感じかな。一歩引いて自然と出てきた作品が好きなのかも。
私にとってはインクを使い果たすのは自然なことだから。
—何かを描きたいということよりも、行為の方が最初の動機にある?
そうですね。制作とかは「何かを伝えたい」っていうよりも、「これやりたい」、「これしてみたい」が多いですね。完成形よりも過程の方を大切に感じています。
—点描におけるインスピレーションはありますか
いろいろインプットはしようと思っているんですけど、外側のものから作品に落とし込むのが苦手で…。インプットしてから何年か経って、自分のフィルターで濾されきったものからしか作れなくて。「言われてみれば、ああいうのに似てるのかも」っていうことは多いですね。

未知の源水からの創出
—小さい頃は何をするのが好きでしたか?
寝てましたね。
「ほんとによく寝る子」って言われてました。寝てばっかりで、絵もそんなに描いてるわけではなくて、どちらかというと工作をすることが多かったです。
—なぜ美術系の高校に?
中学3年生のときにちょうどコロナで、学校に行かなかった学年なんですよ。なのでほとんど家で過ごしてました。家にずっといると、なんかし出すじゃないですか。ゲームしたりとか。私はYouTubeで、ワコムとかが出してるイラストレーターさんの絵を描いている動画を見てました。米山舞っていうイラストレーター知ってますか?
その人のチャンネルにイラストの動画がたくさん上がってて、見まくってたら「自分でも描けるんじゃないか」と思って。でも描いてみたら「画力がない!」ってことに気づいて、とにかく画力がつく学校に行こうと、高校の説明会に行ったら、「デッサンします」、「画力をあげます」って先生が言ってて。個性を育てたいっていうよりも力が欲しかったので、ここだ!と思って入りました。
—イラストも好きなんですね。
いわゆるキャラクター系はあんまり見ないんですけど、雑誌の表紙になるような絵だったり、CDジャケットを見たりするのが好きでした。
—音楽とかもよく聴きます?
めっちゃ聴きます。すごい雑食で、J-popも聴くしK-popも聴くし、洋楽も聴きます。テイラー・スウィフトとかよく聴きます。学科の授業でレコードジャケットを作る課題があったんですけど、その時にテイラー・スウィフトのアルバムジャケットを作ったりもしました。
—では最後に、今回の『mauleaf 34号』のテーマである「美大とAI」について。僕的にこのテーマを考えた時に、そもそも人間ってなんだろうって思ったんですよ。その中で、人間の持つ「弱さ」の部分に人間味が多く含まれていると感じました。菜々果さんの持つ「弱さ」の部分って何かありますか?
私は周りの人がさらっとできるようなことができないことが多いです。でも、そういった「できないこと」もその人の一つの特性で、程度の差はあれど元々みんなが持ってる人間らしさだと思うんですよ。特に私は自覚してることがたくさんある。遅刻魔で努力もできないし、お酒も飲む。弱いところばっかりですね。
人生一周目って感じです。
—できないことに潜む”人間らしさ”を大切にすることは美大生にとっても、重要なもののように感じます。
”できないこと”の可能性。先のわからない今だからこそ、大切なものですね。
執筆・編集:基礎デザイン学科1年 保坂隆玖










