mauleaf 34号編集メンバーインタビュー vol.1 「“好き”と“評価“でゆれながら」
『mauleaf 34号』編集メンバーは、学年も学科も多種多様。web版mauleafでは、メンバー同士でインタビューし合いました。今回の話し手は、社会に寄り添うデザインをつくるデザイン情報学科3年の石田愛瑛さんです。自分の“好き”と“評価“で悩む、等身大のクリエイターです。
◎話し手:石田 愛瑛(デザイン情報学科3年)
○聞き手:鈴木 保孝(芸術文化学科3年)

想像以上のムサビ生活
—石田さんがデザイン情報学科を選んだ理由を教えてください。
もともとは、ファインアート系(絵画、彫刻などの制作系)の方が得意でした。でも、ファインアート系のアーティストを目指していくには不安があって。そこで、卒業後に会社員として社会で活躍する学生が多いデザイン情報学科を選びました。
デジタルは得意じゃなかったのですが、ディズニー&ピクサーなどのアニメーション映画が好きなので、デザイン情報学科の映像の授業とは重なるものがあったし、プログラミングやCGは面白そうだと感じました。
—入学の前と後でギャップはありましたか?
入学前、ムサビは課題や講評の独特な重い空気があり、ついていけないかもと思っていたんです。でも入学してみたら、マイペースだったり、楽観的だったり、優しい人がたくさんいて肩の力が抜けました。みんな明るいところもあり、キラキラしていて、いっぱい楽しむことができています。
—ムサビのどういうところが好きですか?
ものづくりに関しては、一人一人のやりたいことやアイデア、価値観を尊重してくれるところです。同級生の存在も良い刺激です。積極的に話しあって、アドバイスをし合い、自分の考え方をアップデートできる。お互いに切磋琢磨し、励ましあえる関係です。
施設では、図書館、イメージライブラリー(ムサビの収集した映像作品を閲覧できる施設)が好きです。

制作のリアル、“好き“と”評価”のあわい
—今、一番楽しい「制作課題」はなんですか?
アニメーション制作の課題です。現在、ロトスコープ(実写映像をトレースする技法)を使った4分ほどのアニメーションをつくっています。わたしは、キャラクターデザイン、コンセプト、背景デザインに携わりました。世界観のイメージを描き起こすのが、ワクワクするんです。地道にキャラクターを動かしていくのは大変ですが、ワンシーンごとに流してみたとき本当に楽しい。ラフなタッチでも動いていると感動します。作画枚数は約1,900枚。締め切りの7月に向けて鋭意制作中です。
—作品をつくるときに大切にしていることはありますか?
楽しくつくっていくこと。重く考えすぎないことです。あとは、健康“睡眠“第一です。徹夜をしないで、朝ごはんを毎日食べることを意識しています。お菓子を食べ過ぎちゃうときもあるけど、朝昼晩3食しっかり食べて、しっかり寝るようにして制作に向かっています。
技術面では、作品全体の印象から雰囲気を捉えることを大事にしています。もともと作品の細かいところに集中する癖があって、全体を見ることが苦手で…。その苦手を克服するために、特に気を遣うようになりました。
—作品制作や発表・講評での悩みはありますか?
自分の好きな表現と、周囲からの評価のギャップで、ネガティブになってしまうことがあります。自分では良い表現ができたと思っていても、人に見せると反応がいまいちで落ち込んでしまったり。Instagramにイラストを投稿したあとに、「ここ、もう少しうまく描けたなぁ」と後悔しながら見返すこともあります。落ち込むこともあるけど、作品を見返して自分の表現と向き合っているので、そのおかげで少しは絵が上手くなっていると思います。

これからの展望、進路
―これから取り組んでいきたい分野はありますか?
ひとつは、デジタルイラストです。これまでは鉛筆や色鉛筆で描くことが多かったのですが、今年から板タブとCLIP STUDIO PAINTで始めました。アニメーション制作にも使えて、楽しいツールです。あとは、美術とは無関係ですが、エアリアル(サーカスや大道芸の空中での演技)をやってみたい。「シルク・ドゥ・ソレイユ」のエアリアル部門で日本人が出演していたのをYouTubeで見たのが、とてもかっこよかった。それで私もやってみたくて。自分ができなくても、いつかアメリカに見に行きたいと思っています。私はジャズダンスをやっていて、そういう身体表現に興味があるんです。ムサビにも「epa!」という無声演劇の身体表現を行うサークルがあるので、参加してみようと思っています。

―これから挑戦していきたいテーマはありますか?
解像度の高い世界観をつくっていく、ということです。特にアニメーション制作では、社会背景や古典を踏まえて、深みのある世界観をつくりだしていきたいです。
—大学卒業後、どんなことをしたいですか?
デザイナーとして、使う人に寄り添った親しみやすいデザインをつくっていきたいです。また、アニメーション制作の道も考えていて、1コマずつ人形を動かしていくストップモーションに興味があります。どの方向に進むにしても、趣味のジャズダンスは続けていくつもりです。
執筆・編集:芸術文化学科3年 鈴木保孝








