2026-09-04

『mauleaf 34号』編集メンバーインタビュー vol.10「散歩で見つけた新しい幸せ」

mauleaf34号参加メンバーの他己紹介インタビュー!
今回は、芸術文化学科(以下、「芸文」)2年のJ.Aさんにインタビューを行いました。芸文を志した理由や、趣味のことまでいろいろなお話を聞くことができました。

◎話し手:J.Aさん(芸術文化学科2年)
○聞き手:野田 明路(基礎デザイン学科1年)

美術館からの影響

−ムサビに進学した理由を教えてください。

私はもともと総合大学を目指していたんです。でも浪人中にちょっと気持ちが塞ぎがちになってしまって…。そんなときに、地元の美術館で開催されていたワークショップに参加する機会があって、それが大きな転機になりました。

―そのワークショップでは、どんな作品を作ったんですか?

彫刻家でムサビの教授でもある三沢厚彦さんの展覧会に関連した2日間のワークショップで、木の動物を彫ったんです。制作を進める中で、自分の手でものづくりをするのが「楽しい」と思えた。そこから、ものづくりや作品の楽しさを提供できる仕事に興味が湧いて、学芸員になりたいと考えるようになりました。

実際にワークショップで彫った、J.Aさんの愛犬

学芸員資格は総合大学でも取得できますが、昔から絵を描くことが好きだったし、美大ならではの刺激的な環境も魅力的で、ムサビへの入学を決めました。

―以前からよく美術館にはよく行っていたんですか?

美術館に行くことは好きなんですが、金銭的な理由であまり…。
なので、ムサビのキャンパスメンバーズで美術館の入館料が割安になる仕組みはよく利用しています。

―印象に残っている美術館はありますか?

大阪で訪れた東洋陶磁美術館です。
その美術館は世界中から寄贈された東洋陶磁器を展示しているんですが、展示方法がとても印象的でした。工芸品に直接ライトを当てるのではなく、自然光を取り込んで展示品を魅せているエリアがあったんです。
「陶磁器は自然光で見るのが最も美しい」という考え方が採用されていて、とても面白いと思いました。

東洋陶磁美術館の自然光を取り入れた展示

普段の制作や授業で美術館での体験が影響している経験はありますか?

芸文では作品を制作する機会があまり多くないんですよね…。
ですが、「展示を作る」という授業では、実際の美術館も参考にしました。教授が収蔵している作品の中から作品を選び、「どうすれば作品の意図が伝わりやすいか」を考えながら展示をするという課題だったんですが、照明の当て方や光の温度感などを参考にしました。

―その授業を経験して、美術館の見方は変わりましたか。

変わりました。
以前は作品そのものだけをみることが多かったんですが、今では「この動線にはこういう意図があるんだな」とか、「キャプションの書き方が工夫されているな」といった展示の構成まで意識することができるようになったんです。

散歩から広がる世界

―趣味はありますか?

散歩が好きです。
家で考えが煮詰まったときや、友達と遊んでいてすることがなくなった時、一駅分交通費を削減できそうって時とか(笑)。行き先は決めずにすることが多いですかね。
歩いた先で面白そうなお店があればふらっと入るようにもしていて、この前はアラビア料理屋さんに立ち寄りました 。

―散歩で印象に残っている出来事はありますか?

代々木上原にあるモスクを訪れたことです。建物の中にアラビア文字がびっしりと書かれていてとても綺麗でした。
調べてみると、アラビア書道という文化があるらしく、いろいろな書体を用途によって使い分けているようです。
文字でありながらも絵画のような美しさがあり、散歩で自分の視野が広がったなあと感じる出来事でした。

―旅行でも同じような発見がありますか?

もちろんあります。旅行先でも、特に目的地は決めずに歩き回っています。有名な観光地を見るだけでなく、その土地で暮らす人々の日常の風景を見ることが好きなんです。
以前訪れたローマでは、軒先の犬や現地の人の生活から日常の風景を感じ取ることができました。

―最後に、今年のmauleafに関連した質問です。編集会議で「揺らぐ」「揺らがない」という言葉がよく出てきますが、J.Aさんの中で揺らがないものは何ですか?

「楽しむ」という気持ちです。
浪人していた頃、誰かの役に立つといった意義を大切にして制作するよりも、自分の中で楽しいなと思えることの方が大事だと思ったんです。
散歩もその一つで、誰かの役に立つというより自分自身が楽しむための時間ですよね。
「足るを知る」という言葉があるように、日常の些細な幸せをキャッチして新しい発見をする、それが私にとっての散歩なんだと思います。

散歩先で見つけた面白いもの

―今回のテーマである「AI」にもつながるものがありそうですね。

そうですね。AI時代にも同じことが言えると思っていて、AIに絵を描いてもらうことはできますが、自分の手で描く過程が楽しいんだから、AIに描いてもらっても全然楽しくないんですよね。
だからこそ、「楽しむこと」を大切にしたいんです。変わらない日常の中でも面白いものはたくさんあります。こうした小さな発見や自分が楽しいと感じるものを大切にしていきたいです。

―たくさんの課題をこなす必要がある美大という環境では、「楽しむこと」を大切にして、自分の「好き」を見失わないようにしていきたいですね。J.Aさんのものづくりへの姿勢からは、AI時代だからこそ発揮される人間の強さを感じました。
今回のインタビューで、さまざまな視点を持ったメンバーが集まった34号の完成がさらに楽しみになりました!
本日は素敵なお話をありがとうございました!


執筆・編集:基礎デザイン学科1年 野田明路

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