『mauleaf 32号』完成!半年間の活動をふりかえる

2024年10月25日、多様なムサビ生を特集した『mauleaf 32号』が発行されました。4月のキックオフからおよそ半年。ミーティングを繰り返しテーマを決めて企画を考え、締め切りに追われながら取材や執筆、デザインに取り組んできたメンバーが、冊子制作をふりかえりました。
ふりかえりインタビューに協力してくれたのは、リーダーを務めた大島明子さん(基礎デザイン学科1年)と、メンバーの須藤夢叶さん(油絵学科4年)、髙橋天音さん(芸術文化学科1年)の3名です。
悩みながらやりきった達成感と嬉しい反応
—まずは完成した『mauleaf 32号』を手にした感想を教えてください。
須藤:私は4年前の入学式の日に初めて『mauleaf』を見て、そのときの印象が強かったので、完成した32号を見たときにまずその感覚を思い出しました。改めて全体を通して見ると、ポップな見た目だけれど、内容は思ったより真面目なものになったなと感じています。制作期間中は追い込まれる瞬間もありましたが、ふりかえってみるとやっぱり楽しかったなという気持ちです。
大島:芸術祭1日目に『mauleaf 32号』が並んで、手に取ってくれる人がいるのを見て嬉しかったですし、がんばってよかったなと思いました。自分以外のメンバーが担当するページでは共感や気づきもあり、32号を通していろんなムサビ生が見られて、純粋にすごく楽しめました。メンバー全員のがんばりも感じて、やりきったなという達成感が大きかったです。
髙橋:制作中はスケジュールも押したりして、まず完成するのか心配でした。自分が担当するページも最後まで悩んでいたので、実際に形になって本当によかったです。全体を通してすてきなデザインとみんなの文章で、しっかり“一冊”にまとまったと思います。

—周りの方からの反響はありましたか?
髙橋:サークルの友だちは「学生がつくるものだからそんなに期待していなかったけど、実物を見たら内容もデザインも良くて大ファンになった」と言ってくれました。「来年やってみようかな」という友人もいて、次につながっているような気がします。
大島:私は「基礎デザインの『基礎』を学生が考察!」というページを担当したので、基礎デの先生や助手の方に「読んだよ」と言ってもらえてすごく嬉しかったです。同級生の保護者の方も読んでくださったと聞きました。
—もともとみなさんはどのような思いでmauleafの活動に参加したのでしょうか?
須藤:私は学生生活の最後に何か活動に参加したかったということと、文章を書くのが好きだったので、ライティングを学べるというところに興味がありました。実際に取材し文章を書くのは楽しかったです。ただそこで使う言葉や伝え方は、本当に気を遣いました。自分のことではなく、人の話を聞いてその人のことを伝えるので、選ぶ言葉を間違えてしまうと取材相手の思いが間違って伝わってしまう。どういう言葉を使えばいいか、すごく考えました。
大島:私は入学前にムサビに遊びに来たときに、前号の『mauleaf 31号』を手に取ったんです。当時はムサビでやっていけるか不安な気持ちがあったのですが、『mauleaf』を見て学生がものづくりに打ち込める場所なんだと思ったと同時に、私もここに参加してつくりたいという気持ちになりました。それが大学生活への最初のモチベーションになったので、mauleafの活動は入学前からの目標でした。
髙橋:私はデザインをやりたい、文章を書きたいという明確な思いがあったわけではなく、1年生だしまず何か活動に参加しよう、というくらいの漠然とした理由で参加しました。インタビューして原稿を書いたり、どうしたら伝わるかを考えながらページのラフをつくったりと、初めての体験が色々できました。お笑いサークルに所属する3人の学生にインタビューした「お笑いに生きる」のページは、堅苦しい文章だと3人の良さが消えてしまう。でも崩しすぎて変な伝わり方をしてはいけない。そのバランスがすごく難しかったけれど、編集やデザインはプロのサポートがあるので、多少うまくできなくてもカバーしてもらえると思って、安心して書くことができました。

mauleafで培えた力と人のつながり
—mauleafの活動に参加して良かったことや成長を感じた点はありますか?
髙橋:今は完成した達成感がとてもあります。忙しかったけれど、その忙しさも結構楽しかった気がします。具体的に成長した部分、スキルアップした部分はまだわかりませんが、とにかく一冊の冊子をつくり上げたということは自信になると思います。
須藤:“mauleafの取材”という大義名分を持って、いろんな人とコミュニケーションをとれたのはとても良かったです。私は「ムサビってこう見えてる、らしい」のページでタマビに取材に行き、ムサビ生のイメージを聞いてきました。タマビでは学内にいる学生に声をかけて話を聞いていったのですが、インタビュアーという役割がなければあんな風に話しかけられなかったと思います。あとは学科も学年も違うmauleafのメンバーたちと関われたことも、この活動に参加したからこそできたことです。
大島:活動が始まった当初は、表紙のデザインや誌面のイラスト、ページデザインなどに興味がありましたが、制作を進める中で、自分は企画からやるからこそ力を発揮できるということに気づきました。私はリーダーの役割を引き受けましたが、自分1人の力を発揮するよりも、メンバーのいいところをどうつなぎ合わせるかということを、途中からすごく意識するようになりました。4年生の須藤さんが、どうしたらメンバー同士がスムーズにコミュニケーションをとれるか、どうしたらみんなが動いてくれるかを考えて工夫してくださったおかげで、全体の動きが広がっていく感じがありました。私はリーダーとしてそれをどうまとめるかを考え、俯瞰して見るということも意識しました。活動全体を通して、チームでの制作に必要な総合力が身についたと感じています。

—制作中に困難を感じた場面や苦労したことはありますか?
髙橋:Zoomミーティングも多かったのですが、私はZoomでのコミュニケーションが結構難しいと感じました。高校まではコロナ禍でも対面がメインだったので、画面越しでみんなの空気感がわからない中で発言するのはハードルが高かったです。
大島:確かに、私もまだメンバー同士の関係性ができていないうちは、発言のタイミングが被ったら…とか、若干のタイムラグで流れを崩す怖さがありました。でも夏休みの始めくらいになって2、3人でミーティングしたりするのは、もうZoomでも大丈夫という感じだったと思います。だから最初の方のミーティングはなるべく対面の方がいいのかなと。
須藤:一方で後半になるにつれて、メンバー同士の連絡がスムーズにいかなくなってしまったという悩みもありました。みんな課題や試験やバイトなどがあって、忙しかったり体調を崩してしまったりという事情があるのですが、一言でもそういう状況を共有できていれば、フォローの動きももっと早く取ることができたなと思います。逆に手が回らないメンバーのページを途中から引き受けてくれるメンバーもいたので、それはとてもありがたかったです。

—制作の過程で印象に残ったエピソードを教えてください
大島:入稿までかなりギリギリのスケジュールで動いていたタイミングで、私が表紙を担当することになったのですが、そのときにまだタイトルが決まっていなかったんです。そんな状態だったので、表紙のイメージも定まらないまま何度もラフをつくって、デザインを手がけてくださったラボラトリーズの加藤さんと田中さんにフィードバックをもらって…ということを繰り返しました。お2人にミーティングもしていただき表現する方向性がようやく見えてきて、そこからまた修正作業をしてフィードバックをもらって…という時間があったのですが、すごく勉強になったし楽しかったです。私はここまでがんばれるんだ、という発見もありました。
髙橋:初めてのインタビューはとても緊張しました。「お笑いに生きる」のページは、当初は取材対象は1人の予定だったのですが、急遽ムサビ生以外のお笑いサークルの方も協力してくださることになったんです。そこで“ムサビ生らしさ”というテーマから離れずに、お笑いサークルの活動を軸に3人からしっかり話を聞かないといけないというプレッシャーとともにインタビューに臨みました。

須藤:私は制作中のエピソードではないのですが、誌面で取材した映像学科の学生から、つい最近mauleafとは別のことで連絡をもらいました。それまで全く縁のなかった映像学科との交流が生まれて、私が一方的にお願いして取材に協力してもらった、という関係性で終わるのではなく、お互いに力を貸し合える関係性としてつながった気がして嬉しかったです。
みんなでつくる活動の楽しさとやりがいをmauleafで
—来年度のmauleafメンバーに向けてメッセージをお願いします。
須藤:私自身が4年で参加してみて、高学年の人ほど参加してほしい活動だと思いました。3、4年生になると個人制作が増えて、ほかの人のやっていることが見えなくなったり、一緒につくる機会がなくなっていくと思います。mauleafはたくさんの人が関わってみんなでつくるので、自分の企画の意図や完成のイメージをほかのメンバーに伝えないといけない。その過程で「そんなこと考えてたんだ」「思いつかなかった」みたいなことがたくさんあって、とても面白かったんです。mauleafの活動はそういう人との関わりを学べると思います。これから社会に出て、人と関わりながら作品をつくり続けていくことを考えている学生は、特に参加してほしいです。
髙橋:何があっても諦めないで、ということを伝えたいです。悩む時間もあるけれど意外と何とかなるものだし、完成したときの感動はひとしおなので、最後までがんばってほしいと思います。
大島:最後まで諦めないようにするために、始めるときに一つでも何かやり切ることを決めるといいと思います。mauleafの制作は、企画力、伝達能力、プレゼン力、コミュニケーション能力、文章力、デザイン力など、本当にいろんな種類の力が必要で、いろんな人が集まって力を出し合ってつくりあげていきます。その中でどれか一つでも、「自分はこれだけはやり切ろう」「ここは責任を持ってがんばろう」と意識していると、最後にふりかえったときに「ここはがんばったな」というものが見えてくると思います。まずは勇気を持って飛び込んでみて、何か一つやり切ってほしいと思います。

完成した『mauleaf32号』PDF版は、ムサビオフィシャルサイトで読むことができます。
■武蔵野美術大学 広報誌『mauleaf』
https://www.musabi.ac.jp/outline/pr/publication/magazine/
編集・執筆:運営事務局