大変さを乗り越え得られた充実感。『mauleaf 33号』の制作をふりかえる

2025年10月24日に発行された『mauleaf 33号』。学科も学年もさまざまな12人の編集メンバーが、春からミーティングを重ね、テーマを決め、取材や執筆に取り組みました。普段の作品制作とは違う、大学の広報誌としての役割や視点。チームだから達成できたこと、困難だったこと。mauleaf編集部での半年間の冊子制作を、メンバーがふりかえりました。
ふりかえりインタビューに協力してくれたのは、リーダーを務めたスコット愛真ルイーズさん(視覚伝達デザイン学科3年)と、メンバーの古市真之介さん(芸術文化学科3年)、津田幹乃さん(映像学科2年)の3名です。
冊子づくりを通して知った自分たちの大学
—まずは完成した『mauleaf 33号』を手にした感想を教えてください。
スコット:私は発行日の数日前から「もう納品されたかも」「まだかな」とそわそわして過ごしていたんです。芸祭の初日が発行日でしたが、1号館に設置されたのは一瞬で気づきました。遠くからでも表紙の緑色がパッと目に入るから。大学のオフィシャルな冊子で発行部数も多い。特別な感じがしました。芸祭で自分が出店していた雑貨屋さんに並べたら持っていってくれる人もたくさんいて、すごく嬉しかったです。
津田:私も配布のラック一面が33号の紫と緑の表紙になっているのを見て、ちょっと大袈裟かもしれないけれど「自分たちの代になったんだ」という感じがしました。大学の風景も変わったような気がして新鮮でした。あと私は映像学科で、普段はスクリーンに映す作品が多いので、「モノ」として記憶に残る紙の媒体であるということも嬉しかったです。達成感がありました。

古市:完成するまではデジタルのデータでしか見ていなかったので、冊子というかたちで実際に手に取ったときは「おお〜!」と思いました。充実感がありましたね。芸術文化学科では、普段の課題は企画やワークショップなど「コト」を扱うものが多いので、僕も自分たちでつくった「モノ」を手にする満足感を味わうことができました。
—mauleafの活動に参加した当初の思いや参加のきっかけを教えてください。
スコット:私はmauleafの存在を知ったのが去年の冬くらいだったんです。あるとき、普段あまり通らない1号館の下で偶然mauleafを見つけて、「なんか楽しそうだな」って。でも参加方法がわからない。気になってモヤモヤしていたらLiveCampusでお知らせが来て、やるしかないという感じで申し込みました。
古市:僕は1年生の終わりくらいからmauleafの活動に参加したいと思っていたんです。もともと雑誌が好きでいろんな雑誌を読んでいたのですが、クオリティの高いものを週刊や月刊で出すってすごいことだなと思っていて。その制作を実際に体験してみたかったというのが参加の動機です。ただすでに芸祭執行部に参加していたので、2年生まではそっちに専念していました。執行部の活動を卒業し、「満を持して」という感じで今年参加しました。

津田:私も雑誌や本が好きで、どうやってつくっているのか興味がありました。だからどちらかというとつくり方やスキルを学ぶことが目的だったのですが、活動を振り返ってみると、それ以上に大学のことを知るきっかけになったと思います。もともと私は「学校」という存在があまり好きではなくて…。高校でもそうでしたが、授業が終わったらすぐ帰るし、自分が通っている学校のことをよく知らないのが普通だったんです。それがmauleafの活動を通して大学のことを知っていった。大学に関わったという感覚を持ちましたし、「ムサビってこういう大学なんだ」という意外な気づきがありました。その変化が面白かったし、参加してよかったなと思いました。
—ご家族や友人など身近な人の反応はいかがでしたか?
津田:mauleafを読んだ父が原先生のことを聞いてきたり、万博の話をしたりして、面白がってくれました。「大学に詳しくなったんじゃない?」と言われましたね。

古市:「見たよ」と言ってくれる人が結構いました。友人にはmauleafに参加しているということを話していたので、冊子のクオリティのことだけでなく、活動自体について「よくやり切ったね」と言ってもらえました。
それぞれの関わり方で駆け抜けた編集作業。mauleafだからできること
—mauleafの活動に参加してよかったことや成長を感じたことはありますか?
津田:映像学科で作品をつくっていると、観る人のことを考えてつくるというよりも、自分がやりたい表現を突き詰めていくようなことが多いので、それは時に傲慢な姿勢になってしまうこともあります。mauleafの制作はまったく逆で、どうやって読者のニーズを汲み取るか、どうやって読者に近づくかという視点が割とあり、とても新鮮で学びになりました。私は「ムサビ生でわらしべ長者やってみた!」を担当しましたが、表紙を開いてすぐの特集前のページなので、シンプルで面白いもの、興味をぐいっと引っ張れるようなページにすることなどを意識してつくりました。ほかの人の興味に思いを馳せて切り口を考えるというのは、今後も役立ちそうな気がします。

古市:企画を深掘りしていく中で、自分も気づいていなかったムサビ生の特徴が見えてきたり、個々の考えに触れることができてとてもよかったです。企画を考える段階では「ムサビ生ってこんな感じだよね」と決めつけているイメージがあったんですけど、制作を進めるうちに一人ひとりへの理解が深まり、ムサビ生のアイデンティティのようなものについて、解像度がすごく上がったと感じています。僕自身、前よりも周りの人に関心を持つようになったと思います。あと、本当にいろんな属性のメンバーが集まっていたので、その中で自分がどう動くとチームにとっていいか、ということを考える機会になりました。
—スコットさんはリーダーとしてmauleafの活動を振り返ってみていかがですか?
スコット:大学にいると授業などで話したことのない人同士でチームを組むことはありますが、1年生から院生まで、しかも学科もバラバラなメンバーが集まる活動って、ほかではあまりないと思います。リーダーに手を挙げたのは勢いに任せて、というところもありますが、得られたものは本当に大きいと感じています。まず、話し合いがとにかく難しかった(笑)。同じメンバーとしてみんな対等という前提はあるものの、例えば「自分はデザイン系じゃないから得意な人に任せよう」とか、「学年が下だから黙っていよう」とか、引っ込む理由はそれぞれにいくらでも出てきます。それでうまくいかないこともすごく多くて、かなり苦労しました。それでもこの機会を自分の経験としてできるだけ活かしてやろうと思ってがんばったつもりです。
—持っているスキルも違うし、忙しい時期も学年や学科によって違う中で、関係性をつくりながら議論を進め決めるべきことを決めていくのは、毎年本当に苦労するところです。
スコット:台割を考えている時期がいちばん追い詰められていましたね。テーマについての議論がひと段落すると自分たちで台割をつくるのですが、何を基準に考えたらいいのかわからない。それでも締切があるので、手探り状態でも具体的に内容を揉んでいかないといけない。夏休み前でみんな忙しくて、声掛けしてもなかなかアイデアが集まらず、すごく難しい時期でした。でも冊子全体の仕上がりにとって、台割を考える段階がすごく重要だと思っていたので、絶望的な気持ちになりながらも踏ん張りました。

—ほかにも困難を感じた場面などはありましたか?
古市:やはりメンバー同士のスケジュールやキャパシティの調整は、すごく難しかったです。僕が担当した特集は3人のメンバーでチームになりましたが、それぞれ個人の制作や課題、就活などもある中で、最終的には誰かが背負わないといけない。特に入稿が近づいた9、10月あたりで、個人の事情とチームとしての視点を考え、うまく折り合いをつけていくのが大変でした。終盤はスコットさんにいろいろ相談に乗ってもらいました。お互い返信が早かったので、そのやりとりがすごく助かりました。
津田:「ムサビ生でわらしべ長者やってみた!」の企画は、当初は学内で呼びかけて学生を集めるつもりで進めていましたが、思うように人が集まらず、企画倒れになりそうな時期がありました。締切も近づいてきて、企画を一緒に担当していたメンバーと代替案をいくつか考えて、方針を切り替えました。最初に考えていたアイデアがダメだったらプランB、それもダメならプランCというように、選択肢をいくつも用意して対応していく。この体験は自分の経験値を上げてくれた気がしています。
—制作中に印象的だったエピソードなどはありますか?
スコット:私は表紙のイラストを担当したのですが、実は大阪万博に行っていて、イタリア館の入場待ちで並びながら描いたんです。10時間も並んでいたので、椅子を出して座りながらiPadで描いていました。
津田:夏休みに学生に協力を呼びかけたときに、芸祭執行部の方たちがいて、すごく忙しそうだったのに、休み時間にわざわざ詳しい話を聞きにきてくれたんです。やらなくてもいいことなのに、気になったら行動で示してくれるのがムサビ生らしいなと思って。同じ学生がやっていることをスルーしないで、好奇心や興味を持ってきてくれたということに、私はすごくムサビらしさを感じました。

—mauleafへの参加を考えている学生にメッセージをお願いします。
スコット:やっている間はめちゃくちゃ大変だけど、できあがったときの達成感がすごいです。本当に嬉しい。美大の中で自分がつくったものを配るのは結構勇気がいるけれど、編集やデザインではプロの方たちが関わってくださるので、安心して挑戦できると思います。あと、1つの企画に集中する関わり方もあれば、リーダーやサブリーダーとして全体を見る役割もあり、リーダーもぜひおすすめしたいです。私は33号では文章を書いたりはしていませんが、リーダーとして全ての企画にちょっとずつ関わることができました。それぞれの企画を通して自分が気になることを発見したり、取材やミーティングをきっかけにお気に入りのカフェができたりしました。面白い経験ができると思います。
津田:mauleafの活動は、やってみたいことにチャレンジできるのがいちばんの魅力だと思います。自分1人や学生だけだと難しいことも、後押ししてくれる大人がいる環境です。意外といろんな人が励ましてくれて、最後までがんばって走ることができるので、恐れずに挑戦してみてほしいです。
古市:自分の作品や思いを個人のSNSではなく大学の媒体で発信できるというのはなかなかない機会で、それはmauleafの活動の魅力だと思います。やる気さえあれば、同じようにやる気を持っている仲間がいて、そういう人たちと一緒に大変さを乗り越える経験ができます。ぜひ33号を読んでみて、気になったらとりあえず来年の説明会に参加してほしいです。
完成した『mauleaf33号』PDF版は、ムサビオフィシャルサイトで読むことができます。
■武蔵野美術大学 広報誌『mauleaf』
https://www.musabi.ac.jp/outline/pr/publication/magazine/
編集・執筆:運営事務局










