2026-08-19

『mauleaf 34号』編集メンバーインタビュー vol.3「何より、創る過程が大好き。妄想している時間が、一番楽しい。」

今回のmauleaf webでは、『mauleaf34号』メンバー紹介として、視覚伝達デザイン学科3年生の石本芳さん(以下、「かをるさん」)にインタビューを行いました。明るく、ポジティブなエネルギーをまとう彼女の、その源に迫ります。

◎話し手:石本 芳(視覚伝達デザイン学科3年)
○聞き手:髙嶋 星那(視覚伝達デザイン学科3年)

「今」を作った、ポジティブな浪人時代

—初めに、かをるさんがムサビに来た経緯や理由について教えてください。

ちゃんとした理由はなくて、マジでなんとなくなんです。なんで美術系なのかと言うと、デジタルイラストを描くのが高校生の時からすごく好きで、「じゃあ、美大行くか」みたいな感じで進路を決めました。視覚伝達デザイン学科を選んだ理由は、デザインを学ぶことで自分の絵の表現の幅を広げたいって思ったから。元々は、東京藝大を目指していました。私立はムサビとタマビを受けて、家から近かったムサビに決めました。千葉県から通っているので、タマビだと3時間半くらいかかっちゃう。ムサビまでは2時間45分です。

—それは毎日通学が大変ですね…。絵を描くのは小さい時から好きだったんですか?

振り返れば、小学校の時から、絵を描くことがなんとなく好きでした。美術の授業で描いた絵が賞に入り、学校に飾られる時に金色のテープが貼られて、「私は金色のテープをもらう側なんだ」っていう謎のプライドはありました(笑)。今みたいな“オタク”って感じでは全然なかった。小学校の途中からは陸上を始めて、中学校では陸上部で中距離に没頭していました。高校は陸上部を辞めて美術部に入ってみたけど、「油絵じゃないな」と思って2年の途中で部活自体を辞めちゃいました。

大学1年生の時に「クリスマスのワクワク感」をテーマに描いた自主制作イラスト

—かをるさんは2年間の浪人経験があるとのことですが、正直、私なら「とても耐えられない…」と思ってしまいそうです。当時はどのような心境で過ごしていましたか?

浪人生になる前は、浪人生って鬱になりそうなイメージがあって。でも一方で、私は学科の勉強があまり好きじゃなかったので、予備校に入って「絵を描いて粘土こねてるだけでいいんですか!?」みたいな感じで、正直そこまで辛さはなかった。意外と楽しかったです。
課題のたびに「手が遅くて終わらない」というコンプレックスに直面して、なかなか改善できない自分に悩んでいました。落ち込みもしたけど、「それでも毎日頑張っているから」と言い聞かせながら、なんとか踏ん張っていましたね。月曜日から土曜日まで毎日予備校にこもって、日曜日だけが休み。でも、手が動かなくて絵を描くのが嫌になるということはなかったです。
浪人生の時は、「絵を描くこと」は単なる受かるための手段でした。ですが、浪人したことで結果的に一人の時間が増えて、受験のための絵と同時並行で、自分が大好きなイラストをもっと描くようになったんです。そんな経験もあったので、大学に入ってからむしろ、やっぱり手を動かして「描くこと」自体が大好きだと気づいて。描き続けたいなって改めて思うようになりました。
親にはお金を出してもらって申し訳なさはあるけれど、浪人期間でとても成長することができて、私の中ではすごくポジティブな期間として残っています。
今でも誰かに話すときに「あ、すいません2浪してて、まだ大学生なんです。おかしいなおかしいな〜」って自虐するんですけど、実はポジティブに捉えています。

予備校での花火イベント

好きだから、描き続ける日々

—大学生になってからはどんな感じですか?

浪人期からいわゆる二次元もののオタクになりました。漫画とかアニメとかゲームに出てくるような、いわゆる二次元キャラクターの絵をずっと描いています。大学に入ってからさらにオタク化して、ファンアートをたくさん描くようになりました。他にも絵の活動としては、ムサビの仲間16人で、特殊印刷縛りでカードを作ったりしています。それぞれの興味があって、それを作品にする。創り手が集まって学生同士の交流ができるという経験は、美大じゃないとできないことですごく楽しいです。とにかく、絵を描き続けています。

厚盛金箔、厚盛ニスを施した特殊印刷カード 

—イラストが大好き!という気持ちが伝わってきます。将来の目標やビジョンはありますか?

全然ないんだよね(笑)。たくさん二次創作がしたいから、そのためのお金が得られれば何でもいいなって感じ。だから、創作活動が今のやりたいことで、おしゃれな同人誌を創りたいのと、動画を創るのも好きなので、それを続けたいです。
最近、既存のキャラクターを私なりに描く依頼を受けたんです。注文してくれたクライアントの要望に沿って、既存のキャラクターをいかに最大限魅力的に描けるかという挑戦が、すごく楽しかった。だから、自分が作家やアーティストになりたいっていう感じではなくて、設定からキャラクターをイメージして描き起こしたり、依頼者が求めているものを頑張って出力する、そういう感じの仕事をしたいです。
何より、創る工程自体が本当に大好きです。「これをこうして、こうして……」って妄想している時間が、一番楽しいかもしれません。


執筆・編集:視覚伝達デザイン学科3年 髙嶋星那

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